車やバイクに乗る場合は自賠責保険だけでなく任意保険にも入るべきだとは広く伝えられています。しかし、原付バイクの任意保険加入率は実態としてかなり低くなっています。原付バイクでも任意保険は入った方がいいのでしょうか?
自賠責保険と任意保険
原付で事故を起こした際に補償を受けられる保険は自賠責保険と任意保険の2種類があります。自賠責保険と任意保険がそれぞれどのような保険なのか紹介します。
自賠責保険
自賠責保険は別名「強制保険」と呼ばれています。公道を走る全ての車やバイクに加入が法律上義務付けられており、もし加入しないで公道を走行した場合、自動車損害賠償保障法違反となり、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。また、6点の違反点数が付き、過去に違反がなくても30日間の免許停止処分となります。過去3年の累積点数や前歴によってはさらに重い処分となることもあります。
自賠責保険の補償内容は以下の通りです。
損害の範囲 | 支払限度額(被害者1名あたり) | |
---|---|---|
傷害による損害 | 治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料 | 最高120万円 |
後遺障害による損害 | 逸失利益、慰謝料等 | 神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残して介護が必要な場合 常時介護のとき:最高4,000万円 随時介護のとき:最高3,000万円 後遺障害の程度により 第1級:最高3,000万円~第14級:最高 75万円 |
死亡による損害 | 葬儀費、逸失利益、慰謝料(本人および遺族) | 最高3,000万円 |
死亡するまでの傷害による損害 | (傷害による損害の場合と同じ) | 最高120万円 |
任意保険
任意保険とは、文字通り任意で加入する保険で、強制加入である自賠責保険の上乗せの補償を受けられます。任意保険は任意加入なので、加入していなくても自賠責保険のような罰則はありません。事故で死傷させてしまった相手への賠償、事故で相手の物を損傷させてしまったときの賠償、事故による自分のケガへの補償、事故による自分のバイクへの補償などが受けられます。自賠責保険の補償は一律ですが、任意保険では自分で補償の範囲をある程度自由に設定することができます。
補償の対象 | 人 | 物 |
---|---|---|
他人への賠償 | ・対人賠償責任保険 ※自賠責保険では足りない不足分 |
・対物賠償責任保険 |
ご自身の補償 (同乗者) |
・人身傷害保険 ・搭乗者傷害保険 |
・車両保険 |
自賠責保険だけでは足りない?
自賠責保険は契約者のためというよりは被害者救済のための保険です。最低限の補償しか含まれておらず、実際に事故を起こしてしまったときに自賠責保険の範囲だけでは済まないことが多くあります。
自賠責保険で補償の対象となるのは対人賠償のみです。原付に乗っていて民家や店舗などに突っ込んでしまったり他の車やバイクにぶつかったりしてしまった場合に発生する対物賠償は補償対象外となっています。仮に店舗に突っ込んでしまって営業できなくなれば、営業できない間の逸失利益に対して多額の賠償を求められる可能性もあります。
また、対人賠償についても十分に備えているとは言えません。自賠責保険で補償されるのは死亡事故の場合で最高で3000万円、後遺障害でも最高で4000万円です。しかし、事故相手が死亡したり重い後遺障害を負ったりした場合では1億円を超える賠償を求められることもあります。自賠責保険で足りない金額は任意保険に入っていなければ自分で負担しなければなりません。原付なので大きな事故を起こさないということはありません。自転車でも歩行者との事故で1億円近い賠償責任を負った事例もあるのです。
さらには、自賠責保険では自分側の損傷に対する補償も一切ありません。原付で事故を起こした場合、自分もケガをする可能性がありますが、自賠責保険からは補償を受けられないのです。
このように、自賠責保険だけでは事故を起こしてしまったときに十分な補償を受けられない可能性があるのです。
任意保険はコンビニでも加入できる?
結論からいうと、 原付バイクはコンビニで任意保険に加入することはできません。コンビニで加入できるのは、自賠責保険だけです。 また、自賠責保険であっても「総排気量125cc以下の原付バイクまたは総排気量125cc超250cc以下のバイク」 を限定とし、コンビニから申し込みが可能です。
コンビニを利用すれば、即日に自賠責保険証明書(自動車損害賠償責任保険証明書)とステッカー(保険標章)を受け取ることができます。また、地域によっては郵便局でも自賠責保険の加入が可能です。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
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任意保険を新規で加入したり見直しをしたりする際などは、一回で複数の保険会社を比較するために、一括見積もりサイトを利用すると便利です。見積もりの条件を一度入力するだけで複数の保険会社の見積もりを取ることができます。個別に見積もりを取るのと比べて手間を省けますのでぜひ利用してみましょう。
自動車保険のファミリーバイク特約という手もある
原付バイクの場合、単体の任意保険に加入するほかに自動車保険のファミリーバイク特約で補償を受けるという手もあります。自分が車を持っていなくても同居する家族が車を持っていれば、その車の自動車保険でファミリーバイク特約を付ければ補償対象となります。
ファミリーバイク特約では、自動車保険の記名被保険者(車を主に運転する人)と配偶者、同居の親族、別居の未婚の子が原付バイクを運転中の事故でケガをした場合や事故の相手方に対する法律上の損害賠償責任が生じた場合に保険金が支払われます。相手への補償については自動車保険の主契約と同じです。また、原付バイクであれば借りたバイクでも補償を受けられます。
ただし、自分のケガについては気を付ける必要があります。自損傷害型と人身傷害型の2つのタイプがありますが、自損傷害型の場合は自損事故か無保険車との事故のときのみに保険金が支払われます。また、任意保険であるようなロードサービスを受けられない可能性が高いです。
種別 | ファミリーバイク特約 | バイク任意保険 | |
---|---|---|---|
加入 | 任意(自動車保険の特約) | 任意 | |
補償 内容 |
対人 | 契約中の自動車任意保険に準拠 | 契約による(多くは無制限) |
対物 | 契約中の自動車任意保険に準拠 | 契約による(多くは無制限) | |
搭乗者傷害 | なし | 契約による | |
人身傷害 | 契約による | 契約による | |
排気量区分 | 125cc以下 | なし | |
対象車 | 制限なし | 契約による | |
年齢制限 | なし | 契約による | |
等級 | なし | あり |
ファミリーバイク特約のもう一つの特徴として、等級が存在しないことがあります。そのため、事故を起こしても保険料は変わりません。しかし、等級が進むことによる割引もないので、長い間契約するのであれば任意保険の保険料のほうが安くなる可能性があります。
まとめ
原付バイクであっても自賠責保険だけでなく任意保険に加入することをおすすめします。原付ならば大きな事故を起こさないということはありません。事故を起こしてしまったときに自賠責保険だけだと対人賠償の補償額が足りなかったり、対物賠償を全額自分で払わなければならなかったりする可能性があります。被害者のためだけでなく自分のためにも任意保険に加入しましょう。