バイク保険に加入を検討しているとよく耳にする単語「等級」ですが、そもそも等級とはどういったものなのでしょうか。また等級とバイク保険の保険料はどんな関係があるのでしょうか。今回は等級について解説していきます。
目次
バイク保険の等級って何?
バイク保険や自動車保険でよく聞く等級ですが、そもそもどういった意味でどういう使われ方をしているのでしょうか。
ノンフリート等級別料率制度とは?
バイク保険の保険料の割増引率の区分を決めている要素の一つが、ノンフリート等級別料率制度です。この制度は、ノンフリート契約における契約者間の保険料負担を公平にするためのもので、等級は事故歴などによって決まります。
またノンフリート契約とは、契約者が所有もしくは使用する自動車が9台以下の契約のことを指しています。一方で、10台以上の契約のことをフリート契約と呼びます。
等級ってどう決まるの?
バイク保険の等級は1~20等級まであります。初めてバイク保険に加入する場合、等級は6等級からスタートになります。また等級は記名被保険者などの事故歴に応じて決まります。無事故で1年間過ごすと翌年の契約で1等級上がります。逆に、何らかの事故があって保険を利用した場合、事故の内容に応じて翌年の等級が1事故につき3等級あるいは1等級下がります。ただし、事故によっては事故件数と数えられない場合もあります。
3等級ダウンの事故の例は?
基本的には保険を使用すると3等級下がります。具体的には、他人にケガを負わせて対人賠償保険を使用した場合や、他人の車にぶつけて対物賠償保険を使用した場合となります。このように一般的な事故は3等級下がります。
1等級ダウンの事故の例は?
1等級ダウンの対象となる事故は、落書きやいたずら被害に遭い車両保険を使った場合や、車庫のバイクが水災に遭い車両保険を使った場合が当てはまります。
ノーカウント事故の例は?
保険を使っても等級に影響しない事故をノーカウント事故といいます。ノーカウント事故の例としては、以下に挙げるようなものがあります。こちらのものはノーカウント事故に当てはまる代表的なものであり、詳細については契約する保険会社でご確認ください。
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 弁護士費用特約
- 無保険車傷害特約
- 被害者救済費用特約
- 自転車賠償特約
なお、人身傷害保険と対人賠償保険を使用した場合などノーカウント事故以外の保険も使用した場合、翌年の等級は下がります。
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等級による保険料の割引率は?
では等級によって保険料はどの程度変わるのでしょうか。以下の表で等級による保険料の割増引率を紹介します。なお、保険会社によって割増引率は異なる場合があるので、その点は注意しましょう。
前年契約あり
等級 | 無事故 | 事故有 |
---|---|---|
1等級 | +108% | |
2等級 | +63% | |
3等級 | +38% | |
4等級 | +7% | |
5等級 | -2% | |
6等級 | -13% | |
7等級 | -27% | -14% |
8等級 | -38% | -15% |
9等級 | -44% | -18% |
10等級 | -46% | -19% |
11等級 | -48% | -20% |
12等級 | -50% | -22% |
13等級 | -51% | -24% |
14等級 | -52% | -25% |
15等級 | -53% | -28% |
16等級 | -54% | -32% |
17等級 | -55% | -44% |
18等級 | -56% | -46% |
19等級 | -57% | -50% |
20等級 | -63% | -51% |
新規契約
等級 | |
---|---|
6等級 | +3% |
7等級 | -38% |
出典:損害保険料率算出機構
「無事故」、「事故有」とは?
上の表をみると、無事故と事故有で割引率がわかれています。これは、事故有係数適用期間が0年か1年以上かで保険料の割引率が変わることを示しています。
昔は事故有係数適用期間というものはなかったのですが、同じ等級であっても、前年契約で事故があった契約者と無かった契約者を比べた場合において、事故があった契約者の方がリスクが高い傾向にあったため、これを是正する目的で事故有係数適用期間が導入されました。2013年より順次導入が始まり、現在ではすべての保険会社で導入されています。
事故を起こした際、等級ダウンに応じた年数の事故有係数適用期間が加算されます。3等級ダウンの場合、事故有係数適用期間は3年加算され、1等級ダウンの場合は1年加算されます。一方で、1年経過ごとに前年の事故有係数適用期間から「1年」が引かれます。事故有係数適用期間の上限は6年で下限は0年です。
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保険を使用しない判断も大切!
保険を使用すると等級が下がり、翌年以降の保険料が高くなります。そのため、軽い事故でそこまで大きな金額が必要でない場合は、保険を使用しないで自腹で支払い、等級を維持することも大切です。事故の対応にかかる金額と、来年以降の保険料からどちらがお得か考えてみましょう。保険会社に試算してもらい、判断を行うのが簡単です。
保険を使わない場合 | 保険を使う場合 | |||
---|---|---|---|---|
事故年 | 無事故12等級 | 30,000円 | 無事故12等級 | 30,000円 |
1年後 | 無事故13等級 | 29,400円 | 事故有9等級 | 49,200円 |
2年後 | 無事故14等級 | 28,800円 | 事故有10等級 | 48,600円 |
3年後 | 無事故15等級 | 28,200円 | 事故有11等級 | 48,000円 |
合計 | - | 116,400円 | - | 175,800円 |
※上表は等級の割増引率から単純に計算した保険料例です。実際の保険料については保険会社にご確認ください。
上の保険料例の場合、5万程度であれば保険料の値上がりの方が大きくなるので自腹で支払った方がお得になります。
バイク保険の等級って引き継げるの?
バイク保険の等級は無事故で過ごしていれば上がっていきます。その上がっていった等級は保険会社の乗り換えやバイクの買い替えの際、どうなるのでしょうか。
保険会社の乗り換えの際、等級は引き継げる!
保険会社の乗り換えを行った際、乗り換え前の等級を引き継ぐことが可能です。前のバイク保険の契約の満期日(中途解約日)の翌日から、新しいバイク保険の契約の開始日まで7日以内であれば等級の引継ぎは可能です。8日以上の保険の空白期間があると原則等級の引継ぎはできません。
なお、前のバイク保険の等級が1~5、6(F)等級の場合(前のバイク保険の契約期間中に保険を使用して等級が該当の等級まで下がった場合も含む)、解約日の翌日から13か月以内は等級が引き継がれます。保険会社の乗り換えで等級のリセットを行うことはできません。
一部の共済との間では引き継げないので注意!
損害保険会社のバイク保険と一部の共済との間では等級の引き継ぎを行えないので注意してください。こくみん共済 coop <全労済>やJA共済などは引き継げることが多いのですが、どの共済との間で等級を引き継げるかは保険会社によるので事前に確認しておくとよいでしょう。
乗り換えの際、満期日に注意!
バイク保険を乗り換える際、できるだけ満期日と同日に乗り換えを行うようにしましょう。バイク保険は満期日までの1年間無事故であれば翌年の等級が上がります。しかし、満期前に途中解約してしまうと、乗り換え先の保険会社で等級が上がるのは、その契約が始まってから1年間経過後です。つまりは等級が上がるのが遅れてしまいます。
バイク買い替え時には引き継げない場合も!
バイクの買い替えを行った際、等級を引き継げる場合と新規契約になる場合があります。等級を引き継げると思ったら引き継げなかったなどの事態を防ぐために、買い替え時の等級引き継ぎ条件を確認しておきましょう。
排気量区分が変わると引き継げないので注意
バイク保険には125cc以下と125cc超の2つの排気量区分があり、この排気量区分をまたいで等級を引き継ぐことはできません。異なる排気量区分のバイクに乗り換える場合、等級は6等級からになります。
例えば、125ccのバイクに乗っていたけど、バイパスや高速等の自動車専用道路に乗るために250ccや400ccのバイクに買い替えたという場合は等級の引き継ぎができません。150ccから250ccという場合や250ccから400ccという場合は区分が変わらないので等級を引き継げます。
バイクから自動車(四輪)へは引き継げないので注意
バイクから自動車(四輪)に買い替える場合、バイク保険の等級を引き継いで自動車保険を契約することはできません。新規6等級からの開始となります。また、自動車からバイクに買い替える場合も、自動車保険の等級をバイク保険に引き継ぐことはできないので、注意しましょう。
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まとめ
バイク保険の保険料と等級は深く結びついています。等級が高いほど保険料は安くなりますが、逆に等級が低ければ保険料は高くなります。また等級は事故歴に応じて変わります。自分の等級だとどの程度の保険料になるかは実際に保険会社から見積もりを取ってみないとわかりません。保険会社から見積もりを取る際は、便利なバイク保険の一括見積もりを利用しましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。