バイク保険で人身傷害保険は必要?搭乗者傷害保険との違いは?

投稿日:2020年10月22日 更新日:

バイク保険に加入する際、様々な補償を付けるかどうか決める必要があります。その中でも特に加入するか検討が必要なのは人身傷害保険です。今回は人身傷害保険とは何かを解説しながら、人身傷害保険が必要か考えていきたいと思います。

人身傷害保険は必要?

人身傷害保険が必要なのか判断するためにも、まずは人身傷害保険がどのような保険なのか整理しておきましょう。

人身傷害保険とは?

人身傷害保険とは、バイク事故により自身や同乗者が契約中のバイク搭乗中に死傷したときに補償を受けられる保険です。ケガの治療費(実費)や、後遺症による逸失利益、介護料、休業損害、精神的損害などへの補償を、保険金額を上限として事故の過失割合に関わらず実費が補償されます。

2種類の補償範囲

人身傷害保険は基本的に、補償範囲の異なる2つのタイプが用意されています。それぞれの補償範囲について確認しておきましょう。

契約中のバイクに搭乗中の事故のみを補償する「搭乗中タイプ」

こちらのタイプでは、契約中のバイクに搭乗中の事故のみ補償を受けられます。契約対象でないバイクに搭乗しているときに起こした事故や、歩行中の事故などは補償の対象外です。その代わり、もう一方のタイプと比べて保険料を抑えることができます。

契約していないバイクに搭乗中や歩行中の事故も補償する「一般タイプ」

記名被保険者やその家族などが契約していないバイクに搭乗中の事故でも補償されます。また歩行中に起きた事故や自転車搭乗中の自動車事故も補償の対象となります。

人身傷害保険の支払い例
  1. 右折時に他車と衝突し、後遺障害を負った
  2. 信号待ちで停車中、後ろから追突されてケガをした

例えば以下の場合、損害額が保険金額を下回っているので損害額3000万円が保険金として支払われます。人身傷害保険を付帯していない場合、過失割合70%分の2100万円は相手からの賠償がありますが、残りの900万円には補償がなく自己負担となります。

  • 保険金額:5000万円
  • 過失割合:自分30%:相手70%
  • 損害額:3000万円
人身傷害あり 人身傷害なし
賠償・保険金 人身傷害から3000万円 相手からの賠償で2100万円
自己負担 なし 900万円

※相手からの賠償に先行して人身傷害の支払いを受ける場合の例です。

補償の重複に注意!

家族で複数台のバイクを持っている場合、2台以上のバイクで一般タイプを契約すると契約のバイク搭乗中以外の部分の補償内容が重複してしまいます。重複して契約しても、損害額以上の保険金は受け取ることはできません。保険料の無駄となるので、家族で複数台のバイクをお持ちの場合は注意しましょう。

補償の重複を避けるためには、どれか1台のみ一般タイプで契約し、2台目以降のバイクに人身傷害保険を付ける場合は搭乗中タイプを選択するようにしてください。これにより、契約外のバイク搭乗中の事故や、歩行中の事故に対する保険の重複をなくすことができます。

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人身傷害保険のメリットは?

人身傷害保険を補償内容に追加することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。

示談成立前に支払いが受け取れる

人身傷害保険は過失割合に関係なく保険金が支払われるため、示談成立を待つ必要がありません。過失割合を巡って争っていて示談交渉が長引いていても、自身や同乗者のケガに対する治療費や休業中の損害額など、事故によって発生した損害額が確定したらそれへの補償をすぐに受けることができます。

自損事故や自身の過失が大きい場合でも保険金を受け取れる!

単独事故や自身の過失が大きい事故の場合、治療費の多くを自分で支払わなければなりません。人身傷害保険を付帯していれば自身の死傷に対しても保険金が支払われるので、存分に治療を受けることができます。

人身傷害保険を使用したら等級はどうなる?

バイク保険を使用して保険金を受け取った場合、来年度以降の等級が下がり保険料は高くなってしまいます。しかし、人身傷害保険のみを使用した場合、ノーカウント事故として扱われるので等級は下がりません。

注意点として、等級が下がらないのは人身傷害保険のみを使用したとき、あるいは、人身傷害保険とその他のノーカウント事故のみを使用したときです。バイク事故を起こした場合、人身傷害保険のみを使用するというケースは少ないのではないでしょうか。対人賠償や対物賠償、車両保険などと併せて使用した場合には等級が下がりますのでご注意ください。

ノーカウント事故の例

  • 人身傷害保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 無保険車傷害保険
  • 弁護士費用特約
  • 個人賠償責任特約

など

等級の下がり方の例

使用する補償 等級への影響
人身傷害保険のみ 影響なし
人身傷害保険+弁護士費用特約 影響なし
人身傷害保険+対物賠償責任保険 3等級ダウン

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人身傷害保険はどんな人におすすめ?

人身傷害保険について説明してきましたが、人身傷害保険はどのような人におすすめな保険なのでしょうか。

バイクに乗る機会が多い

人身傷害保険は補償が幅広く、また多額の保険金が支払われる保険です。そのため、より大きなリスクに備えることができます。バイクに乗る機会が多ければ多いほど、その分だけ事故に遭うリスクも高まるので、人身傷害保険の付帯を検討してみてもよいでしょう。

自分の収入で家計の多くを支えている

人身傷害保険はケガの治療費だけでなく、バイク事故で休業を余儀なくされたときの損失額も補償してくれます。また、後遺障害を負ったり死亡してしまったりした場合には、本来得られるはずだった逸失利益が補償されます。家計の多くを支える方が働けなくなると、その後の生活が苦しくなってしまいますので付帯を検討してみるとよいでしょう。

人身傷害保険の注意点は?

上で説明してきた通り、自身の死傷に備えるのであれば人身傷害保険の付帯がおすすめです。しかし、いくつか注意点もありますので確認しておきましょう。

人身傷害保険の保険料は高額

設定する保険金額によっても多少異なりますが、人身傷害保険を付けると保険料が高くなります。万が一に備えることができても、保険料が上がればそれだけ毎月の家計を圧迫します。バイクに乗る機会が少ない人や、もし事故を起こしても家計に与える影響が少ない人の場合、人身傷害保険から受けるメリットは限定的になるでしょう。

酒気帯び運転などは補償の対象外

酒気帯び運転や無免許運転、麻薬等で正常な運転ができないおそれのある状態での運転で事故を起こして死傷したとしても、人身傷害保険の保険金は支払われません。その他にも、被保険者の故意または重大な過失によって生じた損害や自身・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害などについても人身傷害保険の保険金は支払われません。

自動車保険の人身傷害保険はバイクには適用されない

自動車保険での搭乗中以外の事故も補償する一般タイプは、バイク搭乗中の事故は補償しません。またバイク保険の人身傷害保険の一般タイプでも四輪自動車に搭乗中の事故は補償されません。ここを勘違いして付けるべきだった補償をつけずに後悔しないよう、契約中の保険の補償内容は確認しておきましょう。

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人身傷害保険の加入率は?

2022年度_自動車保険の概況 (giroj.or.jp)によると、二輪車の人身傷害保険の普及率は16.4%です。2021年3月末の「二輪車の人身傷害付保台数÷二輪車の保有車両数」を計算した数値となっています。なお、原動機付自転車は分子にも分母にも含まれていません。

あまり加入率が高くない印象を受けますが、この数値はそもそもバイク保険に加入していない人を分母に含んでいます。バイク保険加入者のみを対象とするために、「二輪車の人身傷害付保台数÷二輪車の対人賠償付保台数」を計算すると、35.8%となり、先ほどよりも数値が上がります。

人身傷害保険をつける場合、保険金額はどのような設定が多いのでしょうか?同じく2022年度_自動車保険の概況 (giroj.or.jp)から、二輪車と原動機付自転車に分けて紹介します。

3000万円まで 3000万円超
5000万円まで
5000万円超 無制限
二輪車 73.7% 18.2% 3.1% 5.0%
原動機付自転車 72.1% 17.9% 2.9% 7.1%

人身傷害保険をつける場合でも多くの方は保険金額を3000万円までと高額には設定していないようです。

人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いは?

自身の死傷への補償には人身傷害保険のほかに搭乗者傷害保険もあります。比較されることも多いこの2つの保険ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。搭乗者傷害保険がどのような保険か、というところから確認してみましょう。

搭乗者傷害保険とは?

搭乗者傷害保険は、バイクに搭乗している人が事故によって死亡した場合や入院・通院をした場合、人身傷害保険とは別計算で定額の保険金が支払われる保険です。保険金額は死亡時に最大1000万円ほどで、ケガでの入院や通院の場合は、部位や症状、入院日数によって10万円~100万円ほど保険金として受け取れます。

注意ポイント

保険会社によっては、搭乗者傷害保険が「人身傷害定額払特約」などといったほぼ同内容の特約に置き換わっている場合があります。

人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いは?

上の搭乗者傷害保険についての説明だけでは違いが分かりづらいと思いますので、人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いについてまとめてみます。どのような違いがあるのか確認しておきましょう。

搭乗者傷害保険 人身傷害保険
保険金 ケガの部位や程度によってあらかじめ決められた金額(定額払い) 過失割合に関係なく実損額の支払い(実損払い)
補償の範囲 契約車両に搭乗中の事故 契約車両搭乗中に加え、他のバイク搭乗中や歩行中も対象※
支払時期 条件を満たしたら即時 実損額算出後

※補償範囲の広い一般タイプで契約した場合に対象となります。

保険金の算出方法が違う

搭乗者傷害保険はケガの部位や症状に応じてあらかじめ決められた定額の保険金が支払われます。一方で、人身傷害保険は保険金額を上限として実際の損害額が保険金として支払われます。

補償の範囲が違う

搭乗者傷害保険は契約車両に搭乗中の事故のみが対象なのに対し、人身傷害保険は契約車両に搭乗中のみ補償されるタイプと契約車両のみではなく他のバイクに搭乗中や歩行中の自動車事故も補償されるタイプのどちらかを選べることが多いです。

保険金の支払われるタイミングが違う

搭乗者傷害保険では医師の判断による入院日数及び通院日数の合計が5日以上を経過した時点で、保険会社は保険金を支払うことが可能になります。一方で、人身傷害保険は実際の損害額が支払われるため、その損害額を算出するまでの期間は必要になります。そのため搭乗者傷害保険の方が支払いは比較的早いです。

両方付けることも選択肢に!

人身傷害保険と搭乗者傷害保険の両方をバイク保険に付けることで、より補償を充実させることが可能です。搭乗者傷害保険だけでは長期間の入院費用や休業中の損失額の全てを賄うことはできません。また人身傷害保険は保険金が実際に支払われるまでに実損額を算出する必要があるので、保険金を受け取れるまで若干の期間が必要になります。搭乗者傷害保険は治療が5日以上必要となった時点で保険金を受け取ることができるので、突然の入院に対応することができます。

もちろん両方の保険を付けることで保険料は高くなります。事故のリスクと、事故の際に必要になるお金から検討しましょう。

人身傷害保険をつけるべき?

人身傷害保険は、バイクに乗る機会が多い、家計の収入の多くを支えている方は万が一に備えて加入しておくべきでしょう。しかし、人身傷害保険をつけると保険料も高くなります。乗る頻度がそこまで高くない、事故時の経済的リスクも高くないのであれば、保険料を考慮して搭乗者傷害保険だけで備えてもよいでしょう。

人身傷害保険の付帯を検討する際、保険料がいくらになるのかが重要な情報だと思います。保険料を知るためには実際に保険会社から見積もりを取る必要がありますが、何社かの保険料を比較しようと思うと大変です。そこで便利なのが、バイク保険の一括見積もりサービスです。一度に複数社の見積もりが取れるので入力の手間が省けます。ぜひ利用してみてください。


堀田 健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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