バイクの雪道走行は非常に危険であり、雪の日の運転はできるだけ避けたほうが賢明です。ただ通勤や通学、郵便や新聞配達でどうしても雪道を走らなければならない場合もあるかもしれません。その際はしっかり対策をして転倒や事故のリスクに備えましょう。この記事では、バイクの雪道走行の危険性や対策について解説します。
目次
雪道でのバイクの運転は危険?
雪道はとっても危険
雪道や凍結した路面をバイクで走行することは危険です。主な理由は以下の3つです。
凍結によるスリップ・転倒
滑りやすい路面になることで、スリップや転倒のリスクが増加します。降り積もった直後の雪はふんわりとしていることが多いですが、タイヤなどで踏み固められると徐々に氷状になり凍結状態へと変わったり、路上で雪の塊となることもあります。一見すると凍結していないような道でも新雪の下に凍った路面が隠されていることもあるので注意しましょう。
吹雪による視界不良
雪の日に吹雪が起きると、視界不良になることもあります。ライダーは身体が車体に守られていないため、吹雪によって体温を奪われると同時に、視界不良になると前方から歩行者や車両が来ても気付けず重大な事故へつながる可能性が高まるため要注意です。
体温低下によるミス
体温低下により操作ミス、判断ミスを起こすことがあります。雪の中の運転は寒くて体が冷えて固まってしまい思うようにカーブで重心移動ができなかったり、手がかじかんでしまうとブレーキ操作が遅れてしまうことがあります。ハンドルやブレーキ操作を少しミスするだけでも、軽い車体のバイクは簡単にバランスを崩してしまいます。 バイクで雪道を走る際はグリップヒーターを装着して常に手を温め、ハンドルカバーで保温することをおすすめします。
違法となる可能性も
意外と知られていないのですが、しっかりと雪道走行の対策をしなければ違法となるケースもあるのです。雪道走行の規定に関しては、各都道府県によって基準が異なります。(参考:積雪、凍結時の防滑措置)以下は、北海道・東京・新潟の事例です。
北海道道路交通法施行細則 第12条第2号
東京都道路交通規則 第8条第6号
新潟県道路交通法施行細則 第12条第1号
● 駆動輪(他の車両をけん引するものにあつては、被けん引車の最後軸輪を含む。)の全タイヤに鎖等を取り付けること。
● 全車輪に、すべり止めの性能を有する雪路用タイヤを取り付けること。
違反した場合
上記に違反した場合、違反点数はないものの、下記の反則金が科されます。
● 二輪車 6,000円
● 原付 5,000円
自分の都道府県の規定を確認しておこう
チェーン規制に関しては全国統一の表記がなく「チェーン装着」「スベリ止め必要」など地域によって表現が異なっています。自分の住んでいる都道府県の規定を確認し詳細の内容を頭に入れておきましょう。また、ひと口に「冬タイヤ」と言っても、さまざまな種類が存在します。詳細は以下に記述します。
雪道でのタイヤの種類
雪道や凍結路において、ノーマルタイヤはほとんどグリップ力を発揮しません。安全を守るためにも、雪道を走行するためにはバイクを冬仕様にしておくことが必要です。雪道を走るためにはタイヤの装備は、主に「スノータイヤ」「スパイクタイヤ」「タイヤチェーン」の3つを使い分けることがポイントとなります。
スノータイヤ
雪がそこまで頻繁に降ることはなく、降ったとしても路面凍結まではいかない場合は「スノータイヤ」がおすすめです。ちょっとした降雪のときでも圧雪の場合でも、速度を落とせば十分にグリップしてくれます。ノーマルタイヤに近い乗り心地となるため、雪が降っていない日でもスノータイヤのまま走行することができます。ただあくまで雪道用なので、乾いた路面で使用し続けると消耗が激しく寿命が短くなる可能性もあるため注意しましょう。
スパイクタイヤ
地域の条例によっては異なりますが、125cc以下のバイクは冬の期間「スパイクタイヤ」の使用が認められています。スパイクタイヤの性能はスノータイヤ以上の効果を発揮するため、降雪が多い地域の方におすすめです。アスファルトが見えるような道路ではスパイクと路面の摩擦で火花が散ることもあるため、降雪が少ない地域では使用はできない傾向にあります。雪道はもちろん凍結した路面でもタイヤの空回りや横滑りを最小限に抑えることが可能です。
タイヤチェーン
「タイヤチェーン」は、既存のタイヤに装着するだけの手軽さも魅力かつ、雪道や凍結路でのスリップを防ぐ効果が抜群です。特にきつい坂道や新雪を走行するときにタイヤチェーンを装着すれば低速でも走破できる可能性があります。ただ雪道以外ではアスファルトを削ったりチェーンが痛んで切れたりするため、路面状況に応じて付け外しをしましょう。
雪道を走行する注意点
スピードを抑える
上述したとおり、雪の日の路面は晴れている日より大変滑りやすくなっているので、いつもよりスピードを抑えて注意しながら安全運転を心がけましょう。どの程度の雪道なのかによっても変わってきますが、目安の速度は10~20km/h程度です。雪道ではハンドルも取られやすいため、交互に両足を地面に接地させながら走行することでバランスが取れ、タイヤが横滑りした反対側の足で体制を立て直すことができます。
「急」な操作をしない
雪道に限ったことではありませんが、「急ブレーキ」「急加速」「急ハンドル」などの、急が付く操作をしないことは大前提となります。自分のためだけでなく、視野が悪い雪の日は周囲の人を安心させるためにも「急」な動きは避けましょう。ブレーキに関してはエンジンブレーキが基本で、タイヤブレーキは前後のうち後輪のみにブレーキをかけることが転倒しないポイントです。
ルートを事前に確認する
積雪量などの天候も含め、除雪がされているか、交通量は多いか、道幅は狭くなっていないかなどを事前に確認することも重要です。ただどうしても凍結の状態は予測が難しいため、走行中に路面凍結で滑りそうなときはタイヤの空気圧を低めに設定し、接地面積を多くすることでグリップ力を上げましょう。ただし、空気圧が低いまま走行を続けるとタイヤにダメージが加わり続けるため、一時的な策となります。
乗らない選択肢も視野に
雪道ではバイクに乗らないことが基本です。どんなに良いスノータイヤやチェーンを装着していても、雪道でのスリップは予測が難しく経験を積んだライダーでさえ転倒することがあります。上に記述したポイントを意識していても周りの事故に巻き込まれる可能性もあるということを忘れないようにしましょう。
任意保険の加入はしっかりと
雪道は事故リスクが増加します。万が一のときの事故に備え、任意で加入できる「任意保険」にもしっかりと加入をした方が格段に安心です。単独事故や対物事故の場合は任意保険に加入していないと基本的には全て自費で支払わなければなりません。また自賠責保険は対人補償額に上限があるため、一生を棒にふるう賠償金が発生する可能性も大いにあります。
任意保険の選び方は?
まとめ
今回は、バイクの雪道走行の危険性や対策について解説しました。基本的には「雪の日には乗らない」という判断が賢明ですが、どうしても運転が必要なときにはしっかりと対策をしましょう。雪道走行の対策を怠った場合、安全性が劣ることはもちろん違法にもなりかねません。また万が一の事故に備えて、事前に任意保険にも加入しておくことをオススメします。バイク保険一括見積サービスを利用すると効率よく自分に合った任意保険を選ぶことが可能ですので、ぜひ活用してみてください!