日本は地震大国であり、いつどこで大きな地震が起こっても不思議ではありません。バイク保管時に地震の揺れで倒れづらくする方法や走行中に地震が起こった場合の対処法、避難時にバイクを使用してもよいのかについて紹介します。
目次
地震の揺れで倒れづらいバイク保管方法
地震で大きな揺れが発生した場合、保管中のバイクが倒れて傷ついたりへこんだりする可能性があります。「絶対に倒れない」ということはありませんが、バイクのとめ方によって倒れづらくすることはできます。どのようなとめ方がよいのか紹介します。
サイドスタンドでとめる
センタースタンドとサイドスタンドでは、サイドスタンドの方が地震の揺れで倒れづらいです。
センタースタンドを使うと多くは後輪が浮いて「前輪」と「センタースタンド」で支えることになりますが、サイドスタンドの場合は「前輪」、「後輪」、「サイドスタンド」の3つで支えます。サイドスタンドの方が接地面が多く、センタースタンドよりも安定しやすいです。
原付などサイドスタンドがない場合は?
原付などサイドスタンドがない場合はフロントタイヤを壁などに押し付けて前に進まないようにして駐輪するようにしましょう。センタースタンドを外すときは車体を前方に押し出します。つまり、前に進まないようにとめればスタンドが外れにくくなり、倒れづらくなります。
ハンドルロックをかける
ハンドルを左に切り、できればハンドルロックまでかけておきましょう。サイドスタンド側に荷重がかかり、反対方向に倒れづらくなります。
ハンドルロックをかけず、揺れによってハンドルがスタンドと反対側に向くと車体が不安定になって倒れやすくなります。
ローギアに入れる
MT車の場合、ギアをニュートラルではなく1速に入れておきましょう。ローギアに入れておくことで後輪が回らなくなり、地震の揺れで車体が動いて倒れてしまうリスクを軽減することができます。
ニュートラルだと停止しているエンジンからタイヤがフリーの状態となるので、動きを加えると回転してしまいます。そのため、強い揺れ等で車体が動き、サイドスタンドが外れて転倒してしまう可能性があります。
ドミノ倒しや落下物にも可能な限り気を付ける
周囲に何もない空間でバイク1台を止めているのであれば、バイクの転倒対策のみを考えればよいですが、他のバイクや自転車などと一緒にとめているケースも多いと思います。そうした場合、1台が倒れるとドミノ倒しで他のバイクもまとめて倒れてしまう可能性があります。また、周囲に落下しやすいものがある場合、地震の揺れでバイクの上に落ちてくる可能性もあります。
スペースに限りがあったり、自宅以外だと他人の物が絡んだりするなど、完全に対策するのは難しいことも多いですが、バイクの周囲にも目を向けてできる限りの転倒・落下の対策を施しましょう。
地震でバイクが傷ついたら保険は使える?
転倒対策を行っていても必ず転倒を防げるというわけではありません。また、地震の規模が極めて大きい場合は建物が崩れてバイクも巻き込まれる可能性もあります。
そうした場合、修理費用を保険に頼りたいところですが、地震による損害はバイク保険では補償されません。台風による洪水など自然災害による被害が補償される車両保険もありますが、地震・噴火・津波による被害は免責事項として補償対象外となっています。
地震・噴火・津波による被害に備える保険としては住宅や家財に対する地震保険がありますが、バイクは家財には含まれないのでこちらでも補償されません(地震保険の性質上、家財に含まれたとしてもバイク単体の被害の補償はされません)。
地震による被害では保険金は支払われないものと思って、転倒対策をしっかりと行いましょう。
バイク走行中に地震が起きた場合はどうするのがいい?
地震はバイクで走行中に起こることもあります。小さい地震だとそもそも気づかないことも多いですが、走行中でも揺れを感じるような大きな地震でそのまま走行し続けるのは危険です。バイク走行中に大きな地震が発生した場合の対処法について紹介します。
安全な場所に停車
地震による揺れを感じたらゆっくりとスピードを落とし、道路左端の安全なところに停車しましょう。このとき、慌てて急ブレーキや急ハンドルをすると、転倒につながったり周囲のまだ地震に気づいていない車と衝突してしまったりする危険性があります。ハザードランプが搭載されている場合は点滅させて後続の車に停止の意思を示しながら、落ち着いて減速してください。
左端に寄せて停車するのは、緊急車両等の通行の邪魔にならないようにするためです。
周囲の状況を確認
安全な場所に停車したら揺れが収まるまでじっと待ち、周囲の状況を確認しましょう。揺れが収まったらスマートフォンやラジオなどで地震情報や交通情報を収集するのもよいでしょう。
周囲の状況や地震情報・交通情報をもとに、引き続きバイクを運転するか、バイクを置いて避難するか判断しましょう。
引き続き運転する場合は道路の状況に注意
引き続きバイクを運転することを選んだ場合、道路の状況に十分注意して運転するようにしてください。
地震の揺れを感じた場所では問題なくても、走行しているうちに道路がひび割れていたり、隆起・陥没したりしている箇所がある場合もあります。また、停電が起こって信号がついていない、割れたガラスが散らばっている、ブロック塀などが崩れて道路上まで広がっているということも考えられます。
無理に通って事故を起こすと被害の拡大につながるので、迂回したり安全な場所にバイクを置いて避難したりすることを選びましょう。
バイクを置いて避難する場合は邪魔にならない場所で鍵をつけたまま
バイクを置いて避難することを選んだ場合、緊急車両等の通行の邪魔にならないようにできれば道路外に、道路外が無理な場合は道路の左端に寄せて駐車させましょう。
また、救護活動の妨げになったときに移動できるよう、ハンドルロックはせずに鍵もつけたままにします。盗難のおそれはありますが、人命の方が優先されます。もし移動させたときに連絡がつくように、バイクに連絡先や所有者の情報を残しておくとよいでしょう。
避難するのにバイクを使用してもいい?
避難所まで遠い場合や津波の危険があってとにかく早く避難する必要がある場合、避難するのにバイクを使いたくなるのではないでしょうか。
しかし、津波から避難するためやむを得ない場合を除いて、避難は原則として徒歩で行うことになっています。これは家屋の倒壊や落下物等で円滑な避難ができないおそれがあること、渋滞や交通事故のおそれが高いこと、徒歩による避難者の円滑な避難を妨げるおそれが高いことが理由として挙げられています。
道路の状況が万全とも限らず、バイクに乗ったからと言って早く避難できるとも限りません。他の避難者のことも考えて、やむを得ない場合を除き徒歩で避難するようにしましょう。
やむを得ずバイクを使って避難する場合は、道路の損壊や信号機の動作停止、道路上の障害物などに十分に注意して運転するようにしましょう。