趣味性の高いバイクには、カスタムできるパーツが多く流通しています。カスタムすることによって自分のこだわりを追求したり、他の人との差をつけることができます。
しかし、カスタムする前には「保険に入れるか、補償されるか」について気になる方も多いでしょう。先に結論を書くと、合法の範囲内の改造であれば加入できるのですが、保険会社によっていくらか制限を受けることもあります。
バイクのカスタムと保険について説明していきます。
目次
カスタムバイクで公道を走るなら保安基準を満たすことが必要
バイクをカスタムする場合、保安基準を守ることが求められます。保安基準を満たしていないバイクは車検に通らず、公道を走ることはできません。一定以上のカスタムを行った場合、構造変更の申請(250cc以下は変更申請)が必要となります。
また、保安基準を満たすことは車検が必要ない250cc以下のバイクにも求められています。保安基準を満たしていない場合は整備不良として検挙されるので、車検がないから好きにカスタムしてよいというわけではないということに注意してください。
構造変更申請とは
車両の大幅なサイズ変更やエンジンの換装(載せ替え)など、登録した書類に変更があったことを申請することを指します。申請期限は、カスタムを行ってから15日以内となっているので、忘れずに行いましょう。
また構造変更申請は、申請日を起算として2年後が車検満了日となります。車検の期間を無駄にしないよう、注意しておく必要があります。
軽微なカスタムも改造になる?
バイクの性能を向上させるパーツを取り付けたり、ドレスアップするカスタムは大きな楽しみの一つです。基本的に保安基準を守ることが基準となっているので、軽微なカスタムの場合は改造と見なされない場合が多くなっています。
一般的なカスタムとして、マフラー交換やハンドル交換、タイヤ交換を行う場合は、保安基準に適合しているパーツや用品を正しく取り付ける場合は「改造扱い」とはされず、問題ありません。
構造変更申請が必要な改造
車体の大幅な変更に伴うカスタムをした場合は、構造変更申請が必要である旨を紹介してきました。では、構造変更申請が必要な改造はどのような場合でしょうか。
こちらでは、主な事例を基に詳しく紹介していきます。カスタム内容によっては意外と忘れがちなので、構造変更申請が必要な場合は確実に行っておきましょう。
エンジンの載せ替え
エンジンの載せ替えは、載せ替えたエンジンによって排気量が変わる可能性があるため構造変更が必要です。基準としては総排気量が変化するか否かに基づくため、単純にエンジン故障などで同じ型式のエンジンに載せ替える場合は不要になります。
なので、エンジンの出力を上げるカスタムの「ボアアップ」をした場合には、構造変更申請が必須になります。
乗車定員の変更
スポーティな見た目やカフェレーサースタイルに憧れる方がカスタムする内容として、シングルシート化があります。そのほかにもシート変更によって乗車人数が2人から1人になる場合は、構造変更申請が必要です。
車体の強度変更
フレーム加工(フレームカット)やフレームの取り替えなどで変更した場合は、車体の強度が変わるため構造変更申請が必要になります。車体の強度が変わってしまうと走行上の安全性能に関わってくるため、不要な加工は行わないに越したことはありません。
車体重量の変更
パーツ等の取り付けによって、車体の重量が50kg以上変更となる場合も構造変更申請が必要になります。車体重量が変わることによって、こちらも走行上の安全性に関わってきますので、忘れずに構造変更申請をしましょう。
車体の長さ、幅、高さの変更
パーツ等の取り付けによって以下のサイズ以上に変更があった場合も構造変更申請が必要です。規定の長さは、「長さ:3cm以上」「幅:2cm以上」「高さ:4cm以上」となっています。
特に注意したいのは、エアロパーツ取り付けやフォークの交換、ハンドルの交換にて容易にオーバーしてしまう可能性があることです。最も見落としがちなのは、フェンダーレス化した場合です。パーツ取り付けによる構造変更申請は記載事項の変更だけで完了する場合もあるので、簡単な手続きで済む場合があります。なので、手間を惜しまずに手続きすると安心になります。
カスタムしたバイクは保険に加入できる?
カスタムや改造を行ったバイクは保険の加入ができるのでしょうか。
カスタムや改造は、合法と違法に大別されます。結論、合法範囲内のカスタムであれば保険に加入できる可能性が高くなります。
では、合法範囲内とはどのような内容でしょうか。バイクの保安基準として定められているものをクリアしたとして、基本的に「車検に適合するものは合法」と判断されます。
以下で確認していきましょう。
構造変更の必要のないカスタム
構造変更の必要がないカスタムに関しては、特に問題なく加入することができます。定番の軽微なカスタムや純正を活かしたカスタムなども人気があるので、構造変更しなくともバイクライフを楽しむことができます。
構造変更を申請している場合
構造変更申請をしているバイクには、車検証に「改(カイ)」と記載されています。その場合は保険会社によって判断が異なります。特にダイレクト型の場合、引き受けを断られる可能性があるため、注意が必要です。また、基本的にWebでの見積もりはできないので、コールセンターに電話することになります。
違法改造の場合
違法改造したバイクの場合、バイク保険に加入することはできません。違法であるということとともに、安全な走行のために定められた保安基準を守らないことになるので、違法改造は絶対に行わないようにしましょう。
保険契約途中で構造変更をした場合は?
保険契約の途中で構造変更した場合は、保険会社へ構造変更した旨を届け出る必要があります。その際は構造変更後の「改(カイ)」が記載された車検証を提出する必要があります。内容によっては次年度以降の契約の継続を断られる場合もあるので、事前に契約している保険会社に相談しておくと安心です。
違法改造をしたバイクのデメリット
合法の範囲内で改造をした場合は、構造変更で対応できることを解説してきました。バイクの好みは人それぞれで良いのですが、中には法律に違反した改造をする方も出てきます。こちらでは違法改造をした場合のデメリットを紹介します。
取り締まりの対象となる
違法改造をしていると、警察から取り締まりを受ける可能性があります。道路運送車両法第99条の2により、保安基準に適合しない車両の改造、装置の取り付け・取り外し等は行ってはいけないと定められています。違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
車検に合格しない
違法改造をしたバイクは保安基準に適合していないため、車検に合格できません。車検切れのまま公道を走行すると、以下の罰則があります。
- 違反点数6点
- 30日間の免許停止
- 6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金
さらに自賠責保険の有効期限が切れていると、罰則はさらに重くなってしまいます。
- 違反点数6点
- 30日間の免許停止
- 1年6ヶ月以下の懲役、または80万円以下の罰金
任意保険に加入できない
任意保険に加入できないと、事故を起こしてしまった場合の負担が非常に大きくなります。一度の事故には人生を左右する可能性があるため、任意保険に加入できないデメリットは大きいことになります。
契約期間の途中で違法改造を行った場合、事故の内容によっては保険金が支払われない可能性があるので、注意が必要です。特に被害者に対するものではなく自分の損害に対する保険(人身傷害保険や車両保険など)は、改造が原因で事故となったら保険金が支払われない可能性が高くなります。
まとめ
今回の記事では、バイクのカスタムをした場合の任意保険がどうなるか解説しました。基本的に合法の範囲内でのカスタムであれば問題ないことが多いことを紹介しました。構造変更申請が必要な場合は、正しい手順で申請しておきましょう。
違法バイクで公道を走行するのはいけません。くれぐれも法律の範囲内で趣味を堪能し、安全に走行できるバイクで楽しめるように心がけておきましょう。
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著者情報
重松 雄太
フリーランスのライター。
統計データと実体験をもとに、難しい内容をわかりやすく解説します。
好きなものはボクシング・バイク・ケーキ。