
子どもの独立や仕事の引退などを機に、若いころに乗っていたバイクに再び乗り始めようと考えている、そうした「リターンライダー」がバイクを再開するうえで注意しておきたいことを紹介します。これからバイクを継続して楽しむためにも参考にしてみてください。
1.身体能力の衰えを自覚する
若いころに比べると身体能力は確実に衰えています。若いころと同じ感覚で運転しようとしても身体がついてこなかったり長時間乗り続けられなかったりします。感覚のずれが転倒や事故を招きますので、体力トレーニングをするほか、現在の自分の身体能力に合わせた感覚を身に着けていきましょう。
いきなり長距離のツーリングを計画するのではなくまずは近場で、そして無理をせずに定期的に休憩を取るようにすることが大切です。
バイク乗車中の死亡事故は50代も多い
警察庁「令和6年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」に掲載の「自動二輪車乗車中の年齢層別死者数の推移」によると、2024年に最も自動二輪車乗車中の死者が多かった年齢層は20~24歳の52人ですが、次いで多いのは50~54歳の47人、55~59歳の46人となっています。

出典:警察庁「令和6年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」
50代が最もバイクを購入している年齢層なので事故死者数も多くはなりますが、60代は購入割合と比べて事故死者数が少なくなっています。ブランクや体力の衰えがあることを自覚して無理のない運転をするようにしましょう。

出典:日本自動車工業会「2023年度二輪車市場動向調査 報告書」
2.現在の自分に合ったバイクに乗る
昔あこがれていたからなどの理由でバイクを選ぶ気持ちはあってもよいですが、今の自分の体力や筋肉量、運転技術などに合っているのかを一度きちんと考えてみましょう。あこがれだけで大型バイクやスポーツモデルを選ぶと、扱いきれずに事故の元となったり、肩や腰への負担からバイクに乗ること自体が億劫になったりすることもあります。
乗りたいバイクに乗るのはモチベーションの面でも大切です。しかし、体を壊してはモチベーションが高くてもバイクに乗ることはできません。昔よりバイクの性能も上がっていて大型バイクなども選びやすくなっていますが、無理なく乗り続けられるという視点もバイク選びに必ず含めるようにしてください。可能であればレンタルバイクなどで購入前に乗り心地を確かめてみましょう。
3.ウェアやプロテクターを軽視しない
転倒時や事故時のダメージを減らすためにもウェアやプロテクターは安全性の高いものを選び、乗車時には必ず着用するようにしましょう。昔はプロテクターなしで運転していたかもしれませんが、バイク乗車中の死者の損傷主部位では頭部の他に胸部も多く、命を守るためには胸部プロテクターの着用が大切です。もちろん、できるだけダメージを減らすにはその他部位のプロテクターやグローブ、ブーツも重要です。

出典:警視庁「二輪車利用者に対するヘルメット及び胸部プロテクターの着用状況調査結果」
街乗りで毎回毎回フル装備していられないという気持ちもあると思います。そうした場合でもプロテクター内蔵ウェアなどを活用し、安全性には十分気を付けた装備にするようにしてください。
4.任意保険には必ず入る
事故やトラブルに備えて任意保険には必ず入るようにしましょう。自賠責と違って加入義務はありませんが、自賠責保険には対人賠償しかなく、その対人賠償も補償額に上限があります。
任意保険に加入しないと、自分が加害者となったときの対物賠償などの補償がないほか、自分が被害者の場合にも過失がある場合には過失割合分の治療費等は自己負担する必要が生じます。任意保険に加入していれば自賠責で不足する補償を受けられるほか、弁護士費用特約をつければもらい事故の際の示談交渉などにも対応できます。
また、任意保険には事故時以外にもメリットがあります。ツーリング先でバイクが動かなくなった場合にはロードサービスが利用可能できるため、遠出する場合にも安心です。
| 自賠責保険 | 任意保険 | |
|---|---|---|
| 対人賠償 | 被害者1名 あたり 傷害: 最高120万円 死亡: 最高3000万円 後遺障害: 最高4000万円 |
無制限 |
| 対物賠償 | × | 無制限 |
| 傷害保険 | × | 人身傷害保険 搭乗者傷害保険など |
| 車両保険 | × | 契約による |
| ロードサービス | × | 基本的にある |
加害者側となってしまったときの相手への責任として、また、被害者側になってしまったときの自衛としてもバイクの任意保険には加入するようにしましょう。
5.家族の理解を得る
人によっては5つの中で最も難しい内容かもしれませんが、バイクに乗ることについて家族の理解を得ておくようにしましょう。バイクは車と比べると趣味性の強い乗り物であり、興味のない家族からしたらお金も時間も場所も食う存在です。そして事故時の安全性の問題もあります。反対を押し切って無理に乗り始めると、家庭内で冷ややかな目線を向けられたり小言を言われたりすることも増えるかもしれません。
反対される理由が経済面なのか、家族での時間が減ることなのか、バイクやバイク用品を置くスペースの問題なのか、事故時への不安なのか、それらの複合なのか様々に考えられますが、ただ乗りたいと伝えるだけでなく、家族の不安や不満に寄り添ってそれを解消できるよう話し合いましょう。
まとめ
せっかくバイクに戻ってきたのだから楽しんでバイクに乗ることが大切です。ただし、事故につながるようなことには何より気を付け、万が一事故にあったときのための備えもしっかりしておきましょう。
事故により一瞬でバイクの楽しみ、悪い場合は命までもが失われる可能性は常に付きまといます。公道を走る以上は事故の可能性をゼロにすることはできませんが、運転の仕方などで事故の可能性を下げることはできますし、プロテクター等で事故時の被害を軽減することもできます。そして任意保険に加入しておけば事故後の金銭的な不安を軽減することもできます。
長くバイクを楽しむためにも事前に気を付けることができる点はしっかりとやっておきましょう。



