バイク・原付を譲り受ける際の名義変更や手続きをそれぞれ調べるのはかなり大変だと思います。そこでバイクの名義変更、自賠責の名義変更、防犯登録、税止め手続き、任意保険の引継ぎ方法をまとめました。
目次
バイク・原付の名義変更
名義変更はなぜ必要なの
「名義」とはバイク・原付と所有者を紐づけるためのものです。バイクを所持するには2つの税金がかかります。その税金は「軽自動車税」と「自動車重量税」です。「自動車重量税」は新規登録時と継続車検時に徴収されるためトラブルのもとにはなりにくいでしょう。一方「軽自動車税」は毎年4月1日時点にバイクの車検証や軽自動車届出済証または標識交付証明書に記載された住所に軽自動車税の納税通知書が届くため、バイクを譲渡したとしても公に所持が認められている人が旧所有者の場合、旧所有者に軽自動車税の納付が求められる関係上トラブルが起こりやすいです。
トラブルを防ぐためにもバイクを入手する際には必ず名義変更をしましょう。
名義変更を行う際には旧所有者と新所有者がそれぞれ準備しなければいけない書類があるので合わせて解説します。
125㏄以下(原付)の名義変更
旧所持者の手続き
旧所有者は原付を譲る際に原付の所持情報を抹消する手続きが必要です。そのため原付が登録されている市区町村で廃車手続きをしなければなりません。
<廃車手続きに必要な書類など>
- ナンバープレート
- 標識交付証明書
- 身分証明書
- 印鑑(認印で問題ないです。)
役所で廃車手続きを行い、廃車証明書を受け取ります。同時に譲渡証明書も受け取りましょう。(廃車証明書に譲渡証明書の欄がある市区町村もあります。)譲渡証明書に署名と捺印をし、この2枚の書類を新所有者に渡せば旧所有者の原付の所有権に関する名義変更手続きは終了です。証明書は国土交通省などのサイトでダウンロードすることも可能です。
新所有者の手続き
新所有者は旧所有者から「廃車証明書」と「譲渡証明書」を受け取ったのち、新所有者の住民登録をしている市区町村の軽自動車税関連窓口で名義変更の手続きを行います。
<名義変更に必要な書類など>
- 廃車証明書
- 譲渡証明書(旧所有者の署名と捺印のあるもの)
- 軽自動車税申告(報告)書兼標識交付申請書
- 身分証明書
- 印鑑(認印で問題ないです。)
提出書類に不備がなければ新しいナンバープレートと標識交付証明書を受け取ることができます。原付の所有に関する名義変更はこれで完了です。
ナンバーそのままで名義変更できるの?
同じ市区町村内の原付の譲渡・譲受であれば、原付のナンバープレートはそのままで名義変更をすることができます。「ナンバープレートはそのままでいいのなら、名義変更しなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、名義変更をしないと前の所有者に軽自動車税(種別割)が課税されてしまうので、同じ市区町村の人からの譲渡だとしても、必ず名義変更の手続きはするようにしましょう。別の市区町村からの譲渡・譲受の場合は、原付のナンバープレートはそのままでの名義変更はできません。
POINT
125㏄超~250㏄以下の名義変更
旧所有者の手続き
必要書類などをそろえ新所有者に渡します。125㏄超であれば廃車手続きは必要ありません。
<必要書類など>
- 譲渡証明書(旧所有者の署名と捺印をする)
- ナンバープレート(バイク管理の管轄が変更になる場合必要)
- 軽自動車届出済証返納届(旧車両番号用 管轄変更の際に必要になるからです。)
- 軽自動車届出済証
- 自賠責保険証明書(期限が残っているなら)
譲渡証明書は役所で受け取るか国土交通省のウェブサイトなどからダウンロードし印刷してください。
新所有者の手続き
新所有者は旧所有者から書類を受け取ったのちに新所有者の住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所に行き手続きを行います。
<名義変更に必要な書類など>
- 譲渡証明書(旧所有者の署名と捺印のあるもの)
- 住民票(発行から3か月以内のもの)
- 軽自動車届出書(新車両用番号 管轄が変更になる場合に必要です。)
- 軽自動車税申告書
- 印鑑(認印で問題ないです。)
- 軽自動車届出済証記入申請書(記名押印もしくは署名が必要です。ナンバー変更がない場合に提出します。)
- 自賠責保険証明書(保険期間があるもの)
- ナンバープレート及びナンバープレート代
これらをそろえて窓口に提出し、不備がなければ名義変更完了です。
自賠責保険の譲渡に関しては後ほど解説します。
250㏄超の名義変更
旧所有者の手続き
新所有者の手続きに必要な書類をそろえます。
<必要書類など>
- 譲渡証明書(旧所有者の署名と捺印をする)
- ナンバープレート(バイク管理の管轄が変更になる場合必要)
- 自動車検査証(車検証)
- 戸籍謄本の附票(車検証と譲渡証明書の住所・氏名に違いがある場合)
- 住民票の除票(車検証と譲渡証明書の住所・氏名に違いがある場合)
- 自動車納税票(不必要な場合があるので要確認)
- 自賠責保険証明書(期限が残っているなら)
これらを新所有者に渡せば旧所有者の手続きは終了です。
新所有者の手続き
旧所有者から書類を受け取ります。その後必要書類をそろえ新所有者の住所を管轄する運輸支局または自動車検査票登録事務所で手続きを行ってください。
<名義変更に必要な書類など>
- 譲渡証明書(旧所有者の署名と捺印のあるもの)
- 住民票(発行から3か月以内のもの)
- 自動車検査証(車検証)
- 新所有者の印鑑(認印で大丈夫です。)
- 自動車検査証記入申請書(第1号様式 記名押印もしくは署名が必要です。)
- 軽自動車税申告書
- 手数料納付書
- ナンバープレート代(バイク管理の管轄が変更になる場合必要です。)
- 自賠責保険証明書(保険期間があるもの)
これらを届けて、不備がなければ名義変更完了です。
自賠責保険の名義変更に関しては別途名義変更手続きが必要なので後ほど解説します。
車検切れのバイクは名義変更できない?
結論から入るとそんなことはありません。車検が必要という情報は普通自動車と混同している可能性があります。普通自動車の場合は車検切れの場合には車検を通してからでなければ名義変更ができませんが、バイクの場合では車検切れでもバイクの名義変更は可能です。
とは言いつつも、車検証がない場合は名義変更ができません。車検をクリアしているかではなく車検証があることが名義変更では重要です。
もし車検が切れていたとしても旧所有者から必ず車検証を受け取るようにしましょう。
また車検切れのバイクには廃車届が出ているものもあります。その場合は車検証の代わりに車検証返納証明書を受け取るようにしましょう。
名義変更を業者や他の人にお願いすることも可能
名義変更は業者に頼むこともできます。その際には委任状の書類も用意しなければいけません。
バイクの新使用者と新所持者が違う場合にも委任状が必要なので注意しましょう。
税止め手続き
125㏄超のバイクを元々バイクが登録されていた都道府県から都道府県外に転出、譲渡、移譲する際にはバイクが元々登録されている市区町村で税止め手続きが必要になります。
市区町村では登録内容の変更を申告に基づいて行っています。そのため、申告がない場合登録内容の変更を確認できないために旧市区町村での課税が続いてしまうわけです。
名義の登録変更を行う際に運輸支局や軽自動車検査協会に代行を依頼してない場合は必ず税止め手続きをしましょう。
税止め手続きの方法
基本的には必要書類の欄にあるいずれかに名前と電話番号を記載し送れば問題ありません。
<必要書類(この中から一つ)>
- 軽自動車税申告書(本人控え)の写し
- 自動車検査返納証または軽自動車届出済証返納証の写し
- 変更後の自動車検査証の写し
- 変更後の軽自動車届出済証の写し
市区町村によって認められる書類は異なるので必ず方法を確認してから書類を送るようにしましょう。
防犯登録の手続き
バイクの防犯登録に関しても、売却・譲渡・廃車、また転居や名前が変わる際には手続きが必要になります。
売却・譲渡・廃車の場合
売却・譲渡・廃車などでバイクを手放す場合、防犯登録の抹消手続きが必要になります。
もし防犯登録をバイクがしていたのにも関わらず抹消登録せずに譲渡し、その後バイクがトラブルにあった際、旧所有者のもとへ警察から連絡がいくことになります。
そうならないためにもバイクを手放す際には防犯登録の抹消手続きをしましょう。全国のG防取扱販売店やG防事務センターで抹消登録が可能です。
転居や名前が変わる場合
結婚や引っ越しによって、登録されている情報に変更がある場合変更登録の手続きが必要になります。
変更登録はあくまでも住所、電話番号、ナンバープレート、名前が変わった際に必要な手続きです。ちなみに名義の変更はできないため譲渡された場合は新たに防犯登録をする必要があります。
変更登録も抹消登録同様、全国のG防取扱販売店やG防事務センターで抹消登録が可能です。
新規の防犯登録
全国のG防取扱販売店やG防事務センターで登録ができます。
手続きも簡単で車両番号や車台番号、使用者情報をお店で記入するだけです。料金もかかりません。
バイクを盗まれた際に早期発見されやすくなるので義務ではありませんが、バイクを譲り受けた際も加入しましょう。ちなみに防犯登録の期限は10年間ですので10年おきに新規に加入しなおす必要があります。
自賠責保険の名義変更
名義変更が必要な場合
バイク・原付を譲り受けた場合やバイク所有者の氏名や住所が変更になった場合自賠責保険の名義変更が必要になります。
名義変更をしなくても自賠責保険自体は有効です。ですが、更新の通知が来ない、様々な手続きで名義の違いを指摘されスムーズに進まない、個人情報漏洩のリスクが高まるなどトラブルのもとになる可能性が高まります。名義変更が可能な場合はなるべく名義変更をする・してもらうようにしましょう。
自賠責保険の名義変更の方法
自賠責保険はバイクの名義変更と同時に所有者に権利が渡るわけではないです。そのため旧所有者または新所有者が名義を変更しなければなりません。変更するのは旧所有者でも新所有者でも構いませんが名義変更にはいくつか必要な書類があります。旧所有者と新所有者では集める必要がある書類が違うので注意しましょう。
<必要な書類>
- 自賠責保険承認証明書(旧所有者と新所有者の捺印が必要です。)
- 自賠責保険証明書
- 譲ったことが確認できる書類(新所有者の場合は旧所有者の実印と印鑑証明書、旧所有者の場合は旧所有者の確認書類)
これらの書類をそろえ契約している保険会社の本店・支店の窓口やバイクショップで手続きを行いましょう。旧所有者の実印などの個人情報漏れのリスクを避けるために、旧所有者が名義変更をすることをおすすめします。
新規に加入する必要がある場合
バイクを運転する際には自賠責保険の加入が絶対に必要です。何故なら自賠責保険なしでバイクを運転する場合、事故の補償をしてもらえないだけではなく、違反点数6点で前歴がなくても免許停止処分になるのに加えて、50万円以下の罰金または1年以下の懲役になります。
バイクを譲渡された際に自賠責保険が切れている、もしくは自賠責保険の名義変更をしてもらえず気づいたら自賠責保険が切れていた場合は新規に自賠責保険に加入しなければなりません。
バイクの自賠責保険は250㏄以下の場合コンビニでも加入可能なので期限に気をつけて必ず加入し、バイクのナンバープレートの指定の位置に張り付けてください。250㏄超の場合は車検で自賠責保険が必要になる関係上、車検を通す際に自賠責保険が必要になります。未加入の場合は新規に加入するようにしましょう。
任意保険(バイク保険)は引き継げる?
基本的には引き継げない
バイクの任意保険(バイク保険)に関しても自賠責保険同様に名義を引き継げればいいのですが、バイク保険は基本的に引き継ぐことはできません。
もし、すでにバイク保険に加入しているのであれば車両入替の手続きをすることで今までに自身で利用していたバイク保険の対象を新しいバイクにすることは可能です。
家族から等級を引き継ぐことは可能
バイク保険の譲渡(以下、等級継承)も特定条件下であれば可能です。
等級継承が可能な条件は以下の通りです。
- 現在の記名被保険者の配偶者
- 現在の記名被保険者もしくはその配偶者との同居の親族
これらの条件を満たしている場合記名被保険者を変更することで名義の引継ぎが可能です。
もしも親から子供にバイク保険を引き継ぎたいのであれば同居している最中にしましょう。
ちなみにですが記名被保険者の変更が終われば別居しても問題ありません。子供に引き継いだからといって、そのまま同居を必ずしも維持する必要はないです。なので子供の結婚に合わせて記名被保険者を変更する際は必ず別居前に記名被保険者を変更しましょう。
新規に加入する場合は
バイクに乗るのであればできる限りバイク保険にも加入することをおすすめします。何故なら自賠責保険だけではもしもの際に心もとないからです。
警視庁によるとバイクの死亡事故の多くは単独事故です。自賠責保険では単独事故は補償されないため後に残された人が交通事故とお金で二重に苦しむことになりかねません。
そのためバイクに乗るのであればバイク保険にも加入してください。
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